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<目次>
1.「世界文化遺産」
について
2.歩いて見た世界遺産
3.考察
4.百舌鳥古墳暫定リスト
5.東アジア古墳シンポ
6.堺市公募提案





「世界文化遺産」について

<公式上の分類>
  世界遺産はその内容によって以下の3種類に大別される。
 文化遺産
    顕著な普遍的価値をもつ建築物や遺跡など。
 自然遺産
    顕著な普遍的価値をもつ地形や生物、景観などをもつ地域。
 複合遺産
    文化と自然の両方について、顕著な普遍的価値を兼ね備えるもの。


<文化遺産のカテゴリー>
 文化遺産は、顕著に普遍的な価値を有していることが大前提として、つぎの三つのカテゴリーに分類されている。
 T.記念工作物(monument)
    歴史上や芸術上、その記念碑的価値の認められた建造物などを対象とする。 
 U.建造物群(group of buildings)
    単独の建造物でなく、複数の建造物群(例、街並みなど)が一群として評価されたもの。
 V.サイト(site)
    建造物にとどまらない地域一帯が対象(例えば、遺跡)となる場合などに適用される。

<文化遺産としての登録基準>(複数の基準の適用が多い)
 1.人類の創造的才能を表現する傑作。
 2. ある期間を通じてまたはある文化圏において建築、技術、記念碑的芸術、都市計
    画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
 3.現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な
    証拠。
 4.人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景
    観の優れた例。
 5.ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上
    利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている
    人と環境の関わりあいの際立った例。
 6.顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、
    文学的作品と、直接にまたは明白に関連するもの
 7.ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を
    含むもの。
<歩いて見た「世界文化遺産」 登録の適用基準>
世界遺産 登録年 適用登録基準 備 考
 瀋陽の明・清朝皇宮 1987 2004年拡大。中国・遼寧省
 泰山 (複合資産) 1987 中国・山東省
 アンコール遺跡 1992 カンボジア
 曲阜の孔廟、孔林、孔子府 1994 中国・山東省
 古都・京都の文化財
 
賀茂神社・延暦寺・平等院・天龍寺・西本願寺 
1994 日本
 高句麗前期の都城と古墳 2004 中国・吉林省

  世界遺産暫定リスト掲載 掲載年 適用登録基準 提案概要
 長江三峡 (複合遺産) 2001  中華文明 三峡の景勝、三峡ダム
 百舌鳥・古市古墳群 2019  巨大古墳群、国家形成過程遺産 

    
   世界遺産申請準備   
掲載年 適用登録基準 提案概要
 旅順203高地 (中国・大連市)                     日露戦争の激戦地   
 これまでに歩いて見学体験してきた世界遺産のなかで、目指している「百舌鳥・古市古墳群」の世界遺産登録がどのような位置づけにあり、見えてくるのか、登録の適用基準を尺度としてまとめ、考えてみました。
 全体的に共通していることは、実際に現地を訪れ見学体験した後、この上ない「感動」を実感したことでした。
 「感動」のあり方は、人それぞれに違うでしょうが、とかく論理を尽くした説明の中で終始するのではなく、自らの目で見て確認し、訪問価値を実感するということは共通したものであり、その感動の大きさが、次なる関連個所への行動となり、リピートにもつながっていくものと思います。
 今回、改めてこの“まとめ”を眺めてみますと、世界の四大文明の一つ「黄河文明」よりも遡るといわれる「長江文明」のなかに息づく「長江三峡」(中国)が2001年に「世界遺産暫定登録リスト」に掲載されているにもかかわらず、いまだに「世界遺産」登録を実現していなかったことに気付き驚いています。
 また、「古都京都の文化財」として京都市内の4神社13寺1城が登録されているにもかかわらず、宮内庁の反対があって、京都・御所が「世界遺産」として登録されていないことが分かりました。
 今後の話題のなかでは、中国において日露戦争の激戦地「旅順203高地」(中国・大連)が世界遺産への登録準備がされているという情報がありそのなりゆきに注目しています。
 一方、懸案の「百舌鳥・古市古墳群」に関して言えば、受け止め手の「感動」をどのように呼び起こさせられるのか、その具体策が見えてこないのが課題のように思えます。
 同じ古墳群として「高句麗前期の都城と古墳」(中国・吉林省)は、古墳の全てが円墳と方墳から成りたち、来訪者に墳墓の周辺のみならず内部を見学開放しています。
 反面、百舌鳥・古市古墳群は、「前方後円墳」という形において日本固有の文化であり、併せてその大きさとともに世界的にもユニークで独自性を有していますが、残念ながら、その固有の姿を訪問者が直接見て価値観にかえることができません。
 さらに、宮内庁の許可が得られないために中に立ち入ることもできず、現地で埋蔵品から受ける感動体験もできないという点では「顕著に普遍的な価値を有していることが大前提」と標榜している「世界文化遺産」登録基準の適用を受けるには厳しい状況にあると思えます。
<「百舌鳥・古市古墳群」の提案概要と評価>(⇒評価
 @.世界最大級の墳墓・仁徳稜古墳をはじめ日本有数の巨大古墳を含む
    古代に造られた世界の他の巨大記念工作物に並ぶもの
 A.大きさや種類のちがう古墳が集まった日本の古墳の代表例
    日本を代表する古墳群として顕著な普遍的価値をもつ可能性は高い
 B.古代国家形成の過程を物語る遺産
    日本の国家形成の過程を示すだけでなく、独特の形の古墳づくりに膨大な労
      力を投入した極めて重要な資産。

 C.東アジアとの関係を示す貴重な出土品














<パネルディスカッション> 要旨
 日本の王制は、紀元後107年に倭の奴国王が後漢に使者を送り、武帝より「漢委奴国王」と彫られた金印を贈られて始めて顕在化し、前方後円墳は大和朝廷を創始した崇神天皇(第10代天皇)が亡くなって後、天皇を意識した王陵として造成されたのが始まりである。
 その背景には、卑弥呼の死の影響が見逃せなく、これまで後漢の国(中国)と築いてきた関係を保ち、大和王朝政権の安定化を狙った危機意識がきっかけとなっている。
 その意味において、卑弥呼の後継者としての台与(とよ)の活躍を再評価すべきであるという王仲殊先生(中国社会科学院考古研究所教授、元所長)の見解は意義深い。
 一般に、文化は、中国から朝鮮半島を通って日本へ伝承されたと言われているが、前方後円墳に限って言えば、中国の影響は無く日本独自の様式と言え、むしろ朝鮮半島の前方後円墳は日本の影響を受けたと考えて良いと思われる。
 巨大古墳が出来た背景には、
   @敵が多く群雄割拠の状況にある
   A農業が発展して食糧供給体制が整ってきた
   Bその結果として、人口が増加してきた
という共通点があるが、中国の場合と日本の場合では基本的な相違点が見られる。
 例えば、中国では、生前の生活を再現(不死の世界)するという意味で、地下に広大な空間を設置して埋設し、陵墓の周りには広大な陵園が造成される。日本では、死後は天に昇るという意味で、地上に盛り土して地表上の極上部に埋設している。つまり、日本は、「葬り」の儀礼を意識し、宗教的な思想を重視している。
 埋葬品では、4世紀までは身の回り品や実用品であったが、5世紀からは、武器やその他鉄製品が加えられ、軍事力や輸入も含めて外交的な王権の誇示など戦略的様相が見られるようになり転換期であったことがうかがえる。

市勢要覧(堺NOW)2004『さかい興味津々』6頁(堺市市長公室広報課)
<百舌鳥古墳群の世界的意義について> 要旨
 
世界では、環境、制度、文化などにおいて多様性があり、その人類の多様性を代表する象徴的なモニュメントとしてエジプト・クフ王のピラミッド、中国・秦の始皇帝陵および日本の伝仁徳陵がある。
 伝仁徳陵は、巨大さ、保存状態、王権のシンボルとして申し分ない。朝鮮半島の場合も同様であるが、円墳⇒墳丘墓⇒前方後円墳の発展モデルの典型として古墳文化の伝統を引き継ぎ、人類の発展過程を示す貴重な世界的遺産である。
 特に、伝仁徳陵は、その大きさにおいて王権権力の威力を表現し、日本人の文化と日本人観を象徴する歴史的な意義のある遺産である。
 人類の発展過程を示す重要な世界的遺産として人類が共有するためには、可能な限りにおいて公開されることが不可欠である。
 今後の世界遺産申請への取り組み方としては、行政、市民および学会三者協働のテーマとしての取り組みが望まれ、百舌鳥古墳群における位置づけのみならず、古市古墳群および高槻古墳群を含めた大阪府下一連の巨大古墳群としての視野を考慮に入れる考え方もある。

<参考資料>
  ◆デジタル古墳百科「三次元表示による三大墳墓の比較
               ピラミッド、秦の始皇帝陵、仁徳陵

  
堺の“光”−くに、都市、人、こと


<堺市公募提案> 「政令指定都市・堺の未来にかける夢」(平成17年8月24日)

      次世代型路面電車(LRT)を活かした世界遺産のあるまちづくり

1.仁徳陵(百舌鳥古墳群)、竹内街道、応神陵(古市古墳群)を包括的に世界遺産として登録

       

2.「政令指定都市・堺」の都心活性化と市民ニーズへの対応策として検討されている新規交通ネットワーク(東西鉄軌道:LRT)のコース設定を、仁徳陵(百舌鳥古墳群)、竹内街道、応神陵(古市古墳群)を包括した世界遺産へのアクセスに位置づけた交通機関として見直す。
<提案コース> ( )内は、既設コース案
  (臨海新都心⇒堺駅⇒堺東駅)⇒
      三国ヶ丘駅(阪和線、高野線)⇒新金岡駅(地下鉄)⇒美原町⇒近鉄古市駅

3.堺市民および平成の合併で新たに堺市民となった美原地域住民、さらには、堺を訪れる観光客の都心および世界遺産へのアクセスとしての機能を果たす。

4.古都(京都、奈良)を訪れる観光客の堺への誘致、アクセク機関として活かす。
<提案コース>
      京都⇒(JR、近鉄)⇒奈良(市内、飛鳥、吉野)⇒橿原神宮⇒古市⇒(LRT)⇒堺

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