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「地域協働いきいきネット大阪」 第2回 フォーラム in 枚方 パネル・ディスカッション パネラー発言録 平成17年8月20日(土) 13時〜17時 於 メセナひらかた大会議室 事務局:大阪府土木部事業管理室政策調整グループ |
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目次 1.戦後60年 2.21世紀の日本 3.“地域”の魅力 4.“まち”づくり 1)創造都市の世紀 2)歴史・文化遺産 5.「堺・未来デザイン」 6.“堺なんや衆”活動 7.引用資料 |
1.戦後60年(1945年 ⇒ 2005年) 生活文化の変遷 戦後60年、人生に例えれば「還暦」の年である。 大辞林(三省堂)第2版によれば、「干支(えと)が60年たつと一回りして、元にかえる年」と書いてある。人生の新たな出発の年として祝う風習がある。 「戦後60年」の今年は、過去を振り返って新たな社会の形成に向けた出発の年を迎えたことになる。 戦後の転機は、1955年(昭和55年)、1975年(昭和50年)、そして1990年(平成2年)と言われている。 |
2.21世紀の日本に求められていること 株式発行に伴う資金調達(エクイティ・ファイナンス)や金融派生商品(デリバティブ)など、金融操作の横行によって経済は実態のないものが先行し、新たに発生してきた情報技術(IT革命)は、経済のデジタル化により時間と経路を短絡し、商店における会話(対面販売の機会)が減退した。 ツールとして用いるべきソフトを、日本の市場環境を無視して、目的として導入した選択の誤りが、社会現象としてコミュニティーを大幅に後退させるにことになった。 J.K.ガルブレイスは、日本経済新聞に掲載された「私の履歴書」の中で、日本の経済が1990年代以降長期の停滞を続けてきた原因としては、「日本人の生活上の基本的な欲求が、すでに、十分満たされている」ため新たな消費が生れない問題を招いていることを指摘し、反面、「人々の興味や関心を引くものは、まだ、十分供給されていない」とも指摘した4)。 基本的な欲求が満たされていれば、人々の関心は、「モノ」ではなく楽しみや知識に向う。 つまり、日本は、これまで、製品の生産に関心が行き過ぎて、日常における、芸術、科学、教育、スポーツなど人生の喜び、楽しみといった文化の側面への配慮が遅れていることを示唆している。 21世紀の日本にあっては、“まち”づくり(都市創造)および経済システムにおいて「人間」を中心に位置づけた戦略の展開が求められている。 ⇒ このページのトップへ戻る |
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3.“地域”の魅力 地域の魅力とは、先ず、そこに住んでいる人が、住んでいることに満足し、誇りに思うこと、訪れるひとが癒され、楽しみ、知識欲を満たされることと言うことが出来る。 表-1に、都市の魅力要素を示した。 都市の魅力とは、視覚、味覚など、人間の五感を満たせる要因が最も大きく影響し、それに次いで、知識欲(歴史・文化遺産、地域の個性、文化施設)が挙げられている5)。 その後は、癒し(自然環境、のんびり、温泉、家族旅行)、もてなし(人情、ホスピタリティ)、インフラ(交通、宿泊施設、情報)の順となっている。 これらの魅力基準を満たす都市としては、国内にあっては、 @京都、A金沢、B東京、C長崎、D横浜 海外にあっては、 @パリー、Aニューヨーク、Bベネチア、Cローマ、Dウィーン が挙げられている。 ポスト経済、工業社会では、モノの消費よりも情念の消費が購買行動に影響を与える。 モノが充足された現代では、欠乏しているのは、夢と物語である。 21世紀の日本は、モノの満足に比べて、精神的な満足感がはるかに充実感を与える時代になっている。このような時代にあって、地域の魅力あるまちづくりは、魅せられる夢と物語りを見出すことであり、それを発信して示すことができるかが大事である。 |
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4.歴史・文化遺産を活かした“まち”づくり 1)創造都市の世紀6) 21世紀の社会は、「国民国家」から「市民都市」へとパラダイム(社会観の概念)が転換し、地方分権政策のもとに「都市の世紀」が始ろうとしている。人間的な規模で、独自の文化を育て、革新的な経済基盤を持つ「創造的な都市」に関心が集まっている。 製造業を中心とした20世紀型経済から、知識情報中心の21世紀型経済社会への移行が明瞭になり、都市や地域の経済エンジンが大企業や大規模工場から創造性溢れる企業や個人にシフトして、活力溢れる中小企業がネットワーク型に集積し、ダイナミックなパーフォーマンスを示している。 文化が持つ創造的なパワーが、社会の潜在力を引き出すことに注目して「創造性」を「知識」(インテリジェンス)と「革新」(イノベーション)の中間に位置づけ、芸術文化と産業経済をつなぐ重要な媒介項として扱われる。 地域再生の鍵は、工場の誘致ではなく、如何にして創造的な人材を誘引できるかにかかっている。また、創造的コミュニティーを実現するには、社会的・文化的・地理的環境こそ重要である。 2)歴史・文化遺産を活かした“まち”づくり @歴史・文化遺産の創造性と多様性7) 伝統文化は、後生大事に保存するのではなく、現代に相応しい形に展開してゆこうという姿勢が大切である。長い間、その土地の人々の経験の積み重ねによって築かれたものでそれぞれの時代に展開してきたからこそ、今の豊かさがある。 伝統文化の合理性を突き止め、優れた現代文化として捉え直すことが必要である。むしろ、日本人の伝統的な感覚、考え方を基礎として、伝統文化を発展させることは、極めて現代的である。 A現代における“まち”づくりの目標8) イ.少子高齢化社会に応じた住みよい、訪れてみたい“まち”づくり 茶の間の喪失、個室化、核家族化を補う新たなコミュニティーづくり ロ.希薄化した人間関係を暮らしの中に再生 ITコミュニケーション(携帯、メール交信)を超える「寄り合い文化」再生 ハ. 人間と資源環境、伝統文化との共生、活用 地域の固有性(自然環境、山、川、海、伝統芸能・文化、祭り)の活用 とりわけ、人間関係の暮らしの中への再生は、「ソフト」の問題であり、「文化」に関わる問題である。 ⇒ このページのトップへ戻る |
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5.堺市総合計画 「堺21世紀・未来デザイン」9) 1)“まち”づくりの基本理念 「輝くひと、やすらぐくらし、にぎあうまち、ともにつくる自由都市・堺」 2)目標 @人が輝く、市民主体のまちづくり A健やかにくらす、やすらぎのまちづくり B個性がいきづく、つどいのまちづくり C次代をひらく、産業躍動のまちづくり 3)前期(2001〜2010年)基本計画 総合行政で取組む重要課題 「互いを認め合い、交流が生れる社会づくり」 @人間尊重とバリアフリーの社会づくり A“まち”の個性と魅力づくり Bさまざまな交流をはぐくむ環境づくり 4)“まち”の個性と魅力づくり @歴史、文化、自然など地域の特色を活かして、“まち”の個性づくりを進める。 A都心および新都心において、生活・文化、産業などさまざまな分野の交流機 能を高め、内外から人々が集い、交流する個性豊な魅力ある“まち”をつくる。 <主なプログラム> イ.歴史・文化資源のネットワーク形成 ロ.魅力ある景観の形成 ハ.都心での都市中枢機能の集積と水、緑を活かした文化ネットワークづくり ニ.中百舌鳥新都心、臨海新都心での広域的な交流・集客拠点づくり ホ.地域資源を活かした都市型観光の振興 |
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市民活動団体 “堺なんや衆” |
6.市民活動団体“堺なんや衆”の活動 堺の“まち”文化の再発見、再生、創造、魅力情報を発信し、文化的魅力溢れる個性豊な「堺」のまちづくりの提言を活動の趣旨としている。 「“まち”づくりは“ひと”づくり」と言われているが、「“ひと”づくりは“まち”づくりに通じる」との考え方に立って、会員が、自分の“思い”を“形”にするためのプラットフォームとして機能している。 個々に自分の“思い”を「会」に提案し、「会」の賛同を得てリーダーシップを発揮する。そのプロセスにおいて自己変革し、成長する「場」である。 |
徐福 今を生きる伝説 |
平成15年度の主たる活動テーマ: 堺市・連雲港市友好提携20周年記念事業 「中国文化セミナー“徐福”」の企画提案、開催協力 ・事業の目的 堺市と連雲港市の友好の絆を軸として連雲港市に生誕した"徐福"の伝説を共通のテーマと位置づけ、中国・連雲港市はもとより韓国および日本国内各地の市民の方々と交流するグローバルな市民交流の「機会」と「場」を提供し、相互に理解を深め、市民参加型の友好関係の輪を広げる。 ・事業の概要 ・「徐福伝承地」と連携および情報交換: 沖縄から青森まで 計24人 ・「徐福伝説」勉強会開催 1,3,5,7,9月 計5回 ・「中国文化セミナー“徐福”」開催 10月24日(金) 於:堺商工会議所 参加者:約200名 連雲港市から劉永忠市長以下12名 国内伝承地、研究者10名参加 ・「活動報告書」発行 400部 投稿者:「徐福」伝承地および研究者 計21名 |
堺県横断 ウォークラリー |
平成16年度の主たる活動テーマ: 「歩いて学ぼう“堺県”」 −奈良「春日大社」から「堺大魚夜市」へ− ・事業の目的 発祥を鎌倉時代に遡る伝統行事「堺大魚夜市」の再発見、再生、創造。 堺の浜に上がった鯛を奈良の春日大社に奉納したと伝える住吉神社縁起。春日大社境内に天文7年(1538年)堺魚屋・弥次郎寄進の石燈篭現存。 さらに、明治九年(1876年)、現在の奈良県を併合して大「堺県」が設立、行政連絡道路として竹内峠の開鑿が行われ、古代の官道“丹比道”が“竹内街道”として再生された。 これら、堺の伝統・歴史文化を実地見聞して、進取と賑わいに満ちたかつての堺の"まち"文化を再発見し、現代に再生して、新たな"まち"づくり・賑わいづくりに活かす。 ・事業の概要 ・文化庁「関西元気文化圏」登録参加事業 ・勉強会、実地見聞会 (「堺県横断ウォーキング・ラリー」)開催:1、2、3、5、7月計5回 協働:堺市、堺市教育委員会、堺観光ボランティア協会ほか9団体 ・参加者:延べ261名 ・活動報告書発行:300部 投稿:8団体 計12名 |
「茶の湯」の文化 Adobe社 AcrobatReader ダウンロード(無料) |
平成17年度の主たる活動: 「茶の湯」の文化の原点を考える「CHAの文化セミナ」開催10) ・事業の目的 生活文化として広く日本人の心の規範となっている 「茶の湯」の文化を、堺市博物館長角山 榮先生のご提唱による「ふれあい」Communication、「もてなし」Hospitality、「人間関係の形成」Associate(CHA)の理念に立ち、堺の茶人達の「こころ」、「生きざま」に立ち帰ってその原点を考える。 ・事業の概要 文化庁「関西元気文化圏」登録参加事業 千利休に大きな影響を与えた武野紹鴎を中心として、千利休の「茶の湯」を記録として残した山上宗二および「堺千家」継承の夢を果たせなかった千利休の長男・千道安を取り上げた。 これらの事例考察を踏まえて、角山 榮先生に、現代の「堺の文化」として、「CHAの心」について説いていただく。 この事業計画に対して、堺市より平成17年度「堺の魅力づくり」自主事業補助金(35万円:成果報告書 400部発行経費として)が交付決定された。 ・事業の特長 1.堺の文化を事業のテーマとしている。 2.セミナーの前に、時代背景("まち"並み、伝統文化等)見聞会を併催 3.セミナー会場として、由来を中世の堺の繁栄に遡る大安禅寺を選定 4.堺の"まち"づくり活性化事業へ協賛参加 5.「堺の魅力情報」として成果報告書を発行(400部) |
7.引用資料: 1.中村隆英;「日本経済に3度の転機」、日本経済新聞「経済教室 戦後60年」、 平成17年7月21日 2.宮崎 勇;「日本の成長は民間主導」、日本経済新聞「経済教室 戦後60年」、 平成17年7月22日 3.日本経済新聞「生活ファミリー 戦後60年」:平成17年7月26日、7月27日、7月28日 4.J.K.ガルブレイス;「日本への期待」、日本経済新聞「私の履歴書」、 平成16年1月30日 5.白石真澄;「都市観光を可能にする都市の魅力」ニッセイ基礎研究REPORT、 33頁、(2000年10月) 6.佐々木雅幸;「“創造都市”の世紀に」、日本経済新聞「経済教室」、 平成17年4月1日 7.小島美子;「地域文化研究」((財)地方自治研究機構)、第30号、12頁 (2005年3月) 8.角山 榮;「地域文化研究」((財)地方自治研究機構)、第30号、15頁 (2005年3月) 9.堺市市長公室企画部;「堺市総合企画 堺21世紀・未来デザイン」、38頁 (2001年2月) 10.市民活動団体“堺なんや衆”;平成17年度 堺市「堺の魅力づくり」 自主事業補助金申請書 以上 |
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